探究心を鍛えておけば、どんな困難も乗り切れる。 未来、どうなりますか?そもそも教育って何ですか?自ら伸びようとする力?そのプロとしての心得は?静岡県教育委員会の理念は?私が考える教育とは、誰かに何かを教えることではありません。一人ひとりの可能性を見つけて、育てることです。言い換えれば、〝自ら伸びようとする力〟をサポートすること。行動を押しつけたり、テストの点数を上げることとは違うと思います。子どもにはその力があります。ですから、教育の現場に立つ者は、児童・生徒・学生の年齢、性格、価値観、状況などをよく見た上で、適切なタイミングで適切なシグナルを送ることが大切です。その意味で私は、教員こそ人間関係のプロであるべきだと思います。「有徳の人」の育成です。「有徳の人」とは、①知性・感性・身体能力などを自分の個性に応じて磨く人、②多様な生き方と価値観を認め、自他を大切にしながら「徳」を積む人、③「才」を生かして「徳」を積み、社会や人のために貢献する「才徳兼備」の人、という意味です。ただ、これは1つのイメージ。実際は、その人なりの「有徳の人」があっていいと思います。勉学でも、芸術でも、スポーツでも、自分のやりたいことを自分の足で立って磨いていく人になってほしいですね。信頼関係を築くことでしょう。個々の可能性を引き出すには、いろんな方法があると思いますが、まずは「君のことをしっかり見守っているよ」という姿勢を示すこと。そうした安心感があれば、子どもは自発的に伸びていきます。コロナ禍、自然災害、地域紛争・・・。先行きの見えない現代において、若者の創造力と行動力は、未来への希望だ。その可能性を引き出すために、静岡県教育委員会は、「探究心」をキーワードに「有徳の人」づくりを進めている。今年度、同委員会の教育長に就任した池上重弘氏に、若者の未来について聞いた。静岡県教育委員会教育長池上 重弘氏108
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