筋トレ!教室にマットを敷いてジモトのみんなの部活拝見! 山と向き合いながら自分と向き合う。どこか修行的なイメージも漂う登山だが、富士山のふもとにたたずむ富士東高のワンダーフォーゲル部にそんな印象はない。雰囲気はまるで休み時間の教室のよう。チームで技術やタイムを競う部活なのに、部員はまさに十人十色で個性豊かだ。しかし、部長の澤田隆平さん(3年)は笑顔で語る。「普段はみんなでワイワイ好き勝手にやっていますね。でも、山へ行けば自然にまとまるんです」。 ワンダーフォーゲルの競技会では多様な課題をクリアしていく必要がある。体力や歩行技術はもちろん、読図能力、天候予想、救急医療、植生観察、テントの設営方法、炊事のノウハウなども問われる。そのすべてを個人でカバーすることはできないため、部員一人ひとりが専門性を身につけてチームの総合力を高めていく。そんな競技の特徴を自発的にとらえ、主体的で個性的、なおかつ結束力のあるチームを作り上げたのが富士東高のワンダーフォーゲル部だ。 日々のトレーニングはとてもハードだ。基礎的な体力をつけるための筋トレをはじめ、学校外周のランニング、ザックをかついで校内の階段を昇降する、といった活動メニューが並ぶ。しかもザックは男子21kg、女子17kgという驚くべき重量。それらに加えて気象、医療、読図、植生などを学ぶ必要があり、年間の山行きは20回にもおよぶ。まさに体力と知力が求められるスポーツだ。そんなハードな部活でありながら、同部には学年による上下関係がほとんどない。個々に対するリスペクトはあっても年齢差の垣根はないという。副部長の望月わかばさん(3年)も「本当にアットホームな部です。山合宿へ行くと結束力が高まって家族みたいになります」と語る。また、同部顧問の藤井岳之先生は「山登りは一歩間違えば生命に関わるスポーツ。個々の苦手な部分をチームでカバーし合ううちに “まとまる力”が身に付くのでしょう。それにいざという時、学年の壁はむしろマイナスになります」と語りながら個性豊かな部員たちの主体性を見守っている。 体型、性格、年齢、性別、趣味、価値観など、多様な個性がひしめく富士東高ワンダーフォーゲル部だが、総勢16人の部員たちは口々に語る。「トレーニングはとても厳しく、実際の山登りはすごく苦しい。でもみんなで支え合って山頂に立つと、爽快感や達成感が湧き上がってきて心から感動します」。個性がきらめく自由闊達な雰囲気の中で、部員たちは忍耐力と協調性を自発的、主体的に育んでいる。それは「己を磨き 他に尽くさん」という同校の校訓にも通じる感性だ。そんな生きる力をたずさえた者であれば、これからの人生に立ちはだかる山々も意気揚々と越えていくに違いない。十人十色の個性派集団。でも結束は固い!学年の壁は存在しない。自然に“まとまる力”地元の高校にお邪魔して、色々な部活の様子を覗いてきました。部活って、その学校の特色が出るもの。忍耐力と協調性で高い山を越えていく!活動内容 6月 新入生歓迎登山(毛無山) 7月 富士山清掃登山(富士山) 8月 3泊4日の夏山合宿(北アルプス) 9月 秋山合宿(八ヶ岳) 12月 クリスマス合宿(丹沢山) 1月 登り初め(浜石岳) 3月 春休み合宿(天城山) 4月 ゴールデンウイーク合宿(雲取山) 5月 インターハイ県予選(竜爪山) 01富士市静岡県立富士東高等学校ワンダーフォーゲル部多様な個性をまとめて大きな山を越えていけ!
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